「挨拶された時は、更に丁重な挨拶を返せ」とコーラン(第4章86節)で書かれているように、アラブ世界では、あいさつをよりいい言葉で返さなければならない。その結果、アラビア語では、あいさつをおうむ返しすることがほとんどない。そうすると、アラビア語のあいさつでは、かける言葉と返す言葉をしっかり覚える必要がある。アラブ人はあいさつを重視し、かなり慎重にやるので、あいさつのマナーで注意しなければらない点はいくつかある。
あいさつは「アッサラーム アライコム」だけではない。「元気ですか」、「家族は元気ですか」、「仕事/勉強の方はどうですか」などまで尋ねる。人によっては毎日顔を合わせる人とでも尋ねる人もいる。2,3日会ってない人にはやはり家族、仕事、勉強などの調子を伺う。長めのやり取りが普通だ。調子を伺うあいさつだけではなく、別れるときも同じだ。
返事は決まって「良い」、「元気」だ。あくまでもあいさつのつもりで言うので、本当に調子を伺っているわけではない。
職場などでは、一日に何度か顔を合わせる相手に対して毎回必ずあいさつをする。1回目はしっかりと「ごきげんよう」などのあいさつの言葉まで交わすが、2回目以降は、歓迎の意味を込めた「アハラン」や「マルハバ」などのようなカジュアルなあいさつの言葉だけで十分だ。
あいさつの時は、基本的に握手する。ほっぺたにキスすることもあり、また、ペルシャ湾に面した湾岸地域では、鼻先を相手の鼻に軽く触れるというあいさつの仕方もある。キスは基本的に同性の相手とするものだが、一定のコミュニティや社会階級においては、異性の相手とキスする人も居る。握手に関しても、女性と握手しない男性や、男性と握手しない女性も居るので、握手を断られ、恥ずかしい思いをしたり相手の気を損なわないように、自ら手を出さない方が無難だ。
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