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執筆者の写真Musa M., Ph.D.

アラブ式のお詫び

更新日:3月14日

 アラブ人は、名誉及び評判と地位を一番大切にし、何があっても守らなくてはならないと考えている。お詫びをしたら自分の評判が傷つけられ、また自分の優越的な地位が失われる羽目になるため、アラブ人はほとんど謝らない。どうしても謝らなければならないような事情であれば、お詫びの言葉には必ず「家族のために○○をした」などというような弁解を添える。というのも親族を含む家族は名誉や地位に続き、2番目大切なものであって、「家族のため」という理由であれば、評判が傷つけられず、優越的な地位が失われなくて済むと考られるからだ。(例として、アラブ出身の有名な相撲取りが某事故後に取った行動が挙げられる)

  もう少し詳しく説明すると、アラブ人は、人間関係において自分を高く見せ、強い優越感に浸かろうとする人が多い。強い優越感を得るのに、努力などをするのがベストだが、アラブ人はより簡単で早い方法を選ぶ。それは、他人の劣れる点を利用することだ。お詫びをすると、自分の劣れる点、自分の弱みが相手にばれてしまうため、アラブ人はお詫びだけを避けたがるのだ。このような背景があって「マアリシュ」のようなお詫び言葉が生まれたと言ってもおかしくない。「マアリシュ」本来「大したことではない」という意味の言葉だが、「ごめんなさい」という意味でも使われている。

  アラブ社会は、人間関係の難しい社会に思えて来たかもしれないが、アラブ人同士は、お詫びを押し付けても無駄だと分かっているからか、お詫びをほとんど強制しない。(多少顔に出るかもしれないが)基本的に、相手の過ちを黙許するので、お詫びをしないことで平和が持たれているという見方もあり得る。





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